第52話

真っ暗で寒い部屋。

ソファーに並んで座ってキスをする。

2人で夢中になる。


この世に、2人しかいないみたい。


気持ちいい。

息苦しくなったら、ほんの僅かだけ離す。


糸が引く。


とても官能的な気分になって、また欲しくなる。

唇を2人で奪い合う。



『 気持ちいいの? 』



「 うん。もっとして。 」



どうなっても知らないよ?

リョウジがそう言いながら、フッと笑う。


そんなリョウジの唇にまた惹きつけられる私。

夢中になる。


長い長いキスのあと。

いつの間にか、リョウジの首に腕を回す。



『 ユウミ。これ以上は駄目。

歯止めが、効かなくなる。 』



頼むから。あんまり煽らないで。

これ以上は、正直きつい。

リョウジはそう言って、身体を離した。


どうして駄目なの?



「 やだ。止めないで。して。

リョウジが欲しい。今すぐ欲しいの。

まだ教えてもらっていないことがある。 」



そう言って、私はキスを続ける。



『 ちょ、待って、ユウミ。駄目だ。

もう、結構ギリギリなんだけど。

今ならまだ、止められるから。

ごめん。

今日は、優しくできる自信が、正直全くない。

初めてのユウミのこと、大切にしたいのに。

今日は、壊しそうで怖い。

このまま進むと、止められなくなるけど

本当にいいの?

今ならまだ、ギリギリ止められる。 』



そんなの、良いに決まってる。



「 壊していいから。早く、して。 」



・・・


知らないからな。

どうなっても。


低くて呆れたような、そんなリョウジの声が

耳元で聞こえた。


その瞬間、まるで食べられてしまうかのように

始まった。


リョウジの切羽詰まった余裕のない顔を、

初めて見た気がした。

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