第51話

『 ユウミは誰でも良かったんだ?

だったら、僕が相手になってあげるよ。

あんなやつで確かめずに、僕にすればいい。

ユウミがしたいこと、すればいい。

どうするの?何がしたい? 』



「 そうじゃない。塚本くんと接してみて

やっぱりリョウジが良いって思った。

リョウジのことが好きって分かったの。 」



また唇をぶつけられる。

こんなときでも、好きな人の舌の感触は

とても気持ちいい。

何も考えられなくなる。


ゆっくりと唇を離すリョウジ。



『 そんなこと、最初から教えてたでしょ。

怖がらせないように、ゆっくり優しく丁寧に

そっと教え込んでいたのに。なんなの?

学習意欲はあるけど、頭は悪いの? 』



「 ひどい。私だって、不安だったの。

まだ知り合ったばかりの人を好きになるのは

変なのかな?って戸惑うし。

タイムリミットが来たらいなくなる人だし。

こんな気持ちを檻まで持ち帰るのは、

恋愛未経験者の私でも辛いってわかる。

リョウジはただの通りすがりの人だった。

そう思いたかったの。 」



『 通りすがりの人?

そんなこと、させるわけないでしょ。

好きでもない人と結婚なんてしょうもない。

だったら、僕がめちゃくちゃにする。

ユウミはもう、僕から離れられないよ。 』



リョウジはそう言って、優しいキスをした。

そして私を抱きしめる。



『 おいで。 』



低くて優しい声。

リョウジの色っぽい匂いにつられて。

私はどんどん溺れていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る