第50話

「 リョウジ、怒ってるの? 」



エレベーターが来る。

肩を抱いたリョウジが、私を中に押し込む。



『 何階? 』



「 、、8階。 」



『 部屋番号は? 』



「 80、2。 」



無駄なことは一切話さない。

こんなに長く感じたエレベーターは初めてだ。


エレベーターを降りて、部屋に向かう。

鍵を開けるときも、

リョウジは私の肩を抱いたまま離さない。


鍵を開けると、中に入れられる。

真っ暗な部屋。

入るなり、そのまま塞がれる唇。

ドアを背中に感じながら

リョウジの冷たい目を見る。


カチャ。

冷たい音がする。

リョウジが鍵をかけたのだ。


閉じ込められた気分になる。

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