第49話

はぁ。気持ちいい。

そう思って、うっとりする。


私もリョウジの唇と舌に答える。


そしたら、リョウジが眉間にシワを寄せて

ゆっくり唇を離す。



『 ねぇ。それ、無意識?

嫌がるフリをして、僕のことも誘惑するの?

これ以上は、どうなるか分かってる? 』



「 違うよ。そうじゃなくて。

リョウジとのキスが全然違うから。

塚本くんとは全然違うから、気持ちよくて。

もっと、ってなっちゃう。 」



『 は?ユウミ、あいつとキスしたの? 』



「 え?うん。した。というか、された。 」



そう言った私の唇を、もう一度塞ぐ。

苦しい。



「 リョウジ、やめ『 鍵。 』



被せるようにそう言って、手を出して来た。

冷たい目をしたリョウジ。

すごく低い声。

さすがに怯んで、すぐに鍵を渡す。


すかさず鍵を取って、

エントランスの自動ドアを開けるリョウジ。

私を引きずるようにして、一緒に中に入る。

エレベーターのボタンを押して待つ。

肩を抱いている手が、強くて痛い。

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