第45話

リョウジと2人になった。

気まずい。



「 どうして、私の家を知ってるの? 」



『 シンデレラがガラスの靴を落としていって

くれたからね。 』



「 どういうこと? 」



『 この前、洗濯物の袋を落としていったでしょ?

覚えてない??その袋の中に、白衣が入ってた。

薬局名とユウミの名前が刺繍してあって

ネットで調べたら、どこの薬局かなんて

すぐに分かった。

シンデレラの時代より、だいぶ便利な世の中

だよね。 』



「 でも、じゃあ住所は? 」



『 僕が訪ねたとき、ユウミがいなかったから

家族のふりをして会いに来たって言ったの。

そしたら、住所を教えてくれた。

シンデレラの知り合いが親切な人ばかりで

本当に良かったよ。 』



唖然とした。

個人情報保護法はどこに行ったの?

薬局のパートのおば様方は口が軽い。



『 はい。これ。忘れ物。

白衣が転げ落ちて汚れちゃったから

勝手に洗濯し直したよ?

それについては、ごめん。 』



「 いや、大丈夫。ありがとう。 」



『 それで?

さっきのあの男は何?

好奇心って何?確かめたいことって?

自分から誘惑するとか、馬鹿なの?

どんな理由があったら、そうなるの?

てかあの状況で、どういうふうに考えたら

家に入れても大丈夫って思うの? 』



どんどん私に詰め寄ってくる。

後退りしてたら、背中が壁に当たった。


ねぇ。どういうこと?教えて?って。

リョウジは呆れたように笑っているけれど、

かなり怒っている。


なんて言えばいい?

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