第44話

『 駄目だ。この子は僕のもの。

躾がなってなかったのは申し訳ないけれど。

キミに任せるわけにはいかないの。

ユウミも。何してんの?

他の人に変なこと言っちゃ駄目だよって

あれほど言わなかったっけ? 』



リョウジが、少し怒る。


ごめんなさい。

そう思って、少し泣きそうになる。



『 とにかく、キミは早く帰った方がいい。

僕が本気で怒らないうちに。

これ以上、ユウミに取り付くなら容赦しない。

警察呼ぶよ?

それとも、社会的に抹殺しようか? 』



穏やかで静かな口調だけれど、かなり怖い。

リョウジはやっぱり怒っている。


塚本くんにもそれが伝わったのか、黙り込む。

私はその間に耐えられなくて、言った。



「 塚本くん。今日は本当にごめんなさい。

私が悪かったです。ごめん。

もう二度とあんなこと言わないし、しない。

だから、許してほしいです。

そして、できれば忘れてほしい。 」



そう言うと、塚本くんは黙ってエントランスから出て行った。


・・・


本当に申し訳ないことをしてしまった。

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