第43話

『 キミ、誰?

純粋なユウミのこと騙しちゃ駄目でしょ。

家に入って、何するの? 』



立ち上がり、私の隣まで来たリョウジが、

見下したように言う。



『 あんたこそ、誰だよ。 』



『 僕は、ユウミの恋人。手、離して。

もう一度聞くけど、キミは誰?

何をしようと思ってここまで来た? 』



リョウジが私の腕を優しく取り返す。



『 彼氏いないって言いましたよね?

嘘ついたの?

だったら、責任取れよ。こいつ誰? 』



塚本くんは、冷たい声でそう言った。



『 ユウミにそんな口の聞き方をするなんて

僕が許さないよ? 』



『 あんたの恋人が先に僕を誘惑してきたの。

あんたの教育が悪いんじゃない?

それか、あんたと別れたいのかも。

とにかく、帰るのはあんたの方だ。

土屋さん、家に入れてくれるよね? 』



塚本くんが、ご最もなことを言う。

確かにそうだ。悪いのは私だ。

いくら目的があったからといって、

先に誘惑をしたのは私だ。

最低なことをしたのは、私だ。


とりあえず、今日は塚本くんに説明しなきゃ。



「 リョウジ、ごめん。私が悪いの。

ちょっと好奇心で確かめたいことがあって。

それで、私が誘ったの。 」



『 ほら、言ったでしょ?

帰るのは、やっぱりあんた。

土屋さん、行こう。鍵開けて。 』



塚本くんが私を掴もうと、手を伸ばす。

そしたら、リョウジが私の腕を引っ張って

自分の後ろに隠した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る