第39話

そうと決まれば、さすが男の人。

すぐにお会計を済ませて、お店を出た。

私の手を引いて、どこかに進む。


その途中、信号待ちをしている横断歩道で

彼は私にキスをした。



『 可愛い。早く連れて帰りたい。 』



・・・


え。違う。

嫌。

気持ち悪い。


顔が整っているはずの塚本くんが

急に野獣に見える。


私が固まっていると、何を勘違いしたのか

塚本くんがもう一度近付いてくる。


嫌だ。やめて。


"リョウジ!!助けて!!!"


え。 どうして?

私、何でそう思うの?


とりあえず、たまらなくなって、

私は彼の胸を押した。



「 ごめんなさい。好きじゃない。 」



今さら、そんな最低なことを言って

私は走って逃げた。

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