第26話

「 ねぇ。私のどこが好き? 」



さっそく、昨日の勉強の成果を試す。

リョウジはクスクス笑う。



『 また唐突だね〜。

可愛い、真面目、鈍感、面白い、飽きない、

優秀、気が楽、落ち着く、唇の柔らかさ、

抱きしめたときの温度。

あとは、洗濯物の畳み方かな。

それと、何でもすごく頑張るところ。 』



そんなに一度に言われると

次のセリフを言う必要がなくなってしまう。

それじゃあ、最後の耳元で囁いたセリフが

分からず仕舞いになってしまうじゃないか。


それに、私が頑張っているかどうかなんて

リョウジは知らないじゃん。

本当にテキトーだな。


まぁ、いい。

次の作戦だ。



「 じゃあ、仲が良い女性っているの? 」



『 ユウミ。 』



「 そうじゃなくて、他に! 」



『 いない。 』



もう、何なの?

これじゃあ、進まない。


思い通りにいかなくて、考えていると

リョウジが吹き出した。



『 ホント、分かりやすい。

またどっかで勉強してきたんだ?

そんな質問をするのは、高校生じゃない? 』



図星だ。

リョウジには敵わない。


耳の囁きと、何ならキスまでいくはずが、

まさかの一言目で完封負け。


これじゃあ試合にすらなってない。

もういいや。

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