第18話

『 ユウミ、今日は何してたの? 』



リョウジの声で、我にかえる。



「 昼間はパートに行って、

終わってから映画を見に行った。 」



『 パートしてるの? 』



「 うん。さすがに食べていけないからね。 」



『 意外すぎる。ちゃんと考えてるんだ。

縛られた家から唐突に飛び出してきた

おとぎ話の中のお姫様なのかと思ってた。 』



リョウジはそう言って苦笑いした。


その言い方は、さすがに酷くない?

私だって、幼い頃から勉学に励み、

普通に大学を卒業して、3年間は働いた。

ちょっとムっとする。


それを見て、リョウジはさらに笑う。



『 ごめん、ごめん。つい面白くて。

美人な顔と、クールな性格と、破天荒さが

見事にアンバランスすぎるからさ。

おまけに恋愛経験がないのに恋愛小説を

書いているなんて、個性的すぎて。

世間知らずのお姫様に見えるでしょ。 』



まあ、、、

確かに、そうだけれども。



『 そんなに怒らないでよ。褒め言葉だから。

それに、まだ運命の人に出会ってないだけで

ユウミは恋愛の素質が満載だと思うよ。 』



"運命の人"?

そんな人には、もう絶対に出会わない。

いるとしたら、目の前にいるリョウジだ。


出会った日に期間限定の恋人同士になって

まだよく知らないのに笑い合って。

おまけに、心が落ち着くなんて。


だけど、タイムリミットが来たら

"僕は黙って去る"

そう言っていたリョウジ。


リョウジは来月、私の前からいなくなる。

そして私は、檻の中へ戻るのだ。


・・・



「 リョウジが運命の人だったら良いのに。 」



『 運命かもしれないよ?

ユウミが僕に本気になれば、僕が連れ去るかもしれない。 』



リョウジはそう言って、優しい笑みを浮かべた。

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