第4話

私の作戦通り、両親は"一年"という限定で

私の自由を許してくれた。



『 そんなことまでするの? 』



そんな心配をする両親を無視して、

一人暮らしのマンションを契約した。


当たり前だけど、

小説だけでは生活をしていけない私は

薬局でのパートを探して働いた。

むしろ、そっちが本業だ。


それがもう、10ヶ月も前の話。

タイムリミットが迫っている。


・・・


驚いたことが一つ。


小さい頃から本の世界を妄想していたからか

私は文章を書くのがかなり上手いようだ。

短編を応募してみたところ、

見事選出され雑誌の隅っこに載った。


それからは、かなりマイナーな雑誌の

後ろのページの片隅で

連載をさせていただいている。

漫画で言うと4コマ漫画ほどの量だ。

テーマは"恋愛"。


うん。最も苦手な分野だ。


しかし、自由というものが新鮮な私は

何でもない毎日が楽しくて楽しくて、

できればずっとこのままでいたい。

そんなささやかな希望を持って

恋愛小説で一攫千金を夢見て、

見様見真似で恋愛小説を必死に書いている。


今のところ、何とか連載は続いているが

全く売れる兆しもなく。


毎回ネタがなくなって。

最近は街へ出てカップルを観察し、

妄想に明け暮れる日々を過ごしている。

ある意味、変態だ。

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