第3話

それもまた、束の間の夢。


4年目に、急に婚約者ができた。

あれほど恋愛禁止の雰囲気を

醸し出していたくせに。


それなのに何で??

急に婚約者?


私は恋愛の仕方すら知らない。

本の中でしか見たことがない。


さすがに無理だ。


・・・


そう思って、私は逃げた。


物理的にではない。

心理的にだ。



「 パパとママの言うことを聞くから。

ちゃんとお見合いでも何でもするから。

だから私に一年だけ下さい。

自由な時間を過ごしてみたいの。

私、小説家になるのが夢だったの!! 」



もちろん、嘘だ。

小説家になりたいなんて思ったことなんて

ただの一度もない。

咄嗟に出た言葉だ。


普通のことを言ったって許してもらえない。

だから、斬新なことを言った。

真面目な私が突拍子もないことを言う。

それだけで効果があると思ったから。

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