第72話

「朱南···、すまん····違うんだっ、お怒ったか??ああ、あれは、その、ほんとにただの観賞用でっ」


「·····」


「わ、わかった!!ちゃんと話す!!話すからちょっと待て!!じじじ実は、」



 先輩はバタバタとリビングに駆けていき、またすぐに玄関へと戻ってきた。



 ····なんか、凄いものを腕に抱えて。。



「こここれを見てくれ···!あ、朱南の、

等身大抱き枕だ!」


「······」


「ここ、この、ほら···、朱南の尻の部分見てみろ···ふっ···ちゃんと指が入るよう穴が開いてるんだぞ?」



 ···ねえ先輩、なんで爆弾に爆弾投下したの?



 その抱き枕はトイレの壁紙と同じ、裸の私が後ろ姿でお尻をつき出す格好をしていて、お尻の部分にはひっそりと隙間ができていた。



 それを見て玄関から動けなくなってしまった私。私は金縛りにあっていた。



「だ、抱き枕だけじゃないんだ···!マウスパッドもあって、ちょうど尻部分がプックリ膨れててふふっ···ほら、これだ。見てみろ。


この間にな?親指が第一間接まで入るんだ。


あとはティッシュケースもあって、朱南の尻からティッシュが出てくる」


「尻尻尻尻さっきから五月蝿い。」


「あ、す、すまん···。」



 さすがにキレた私が先輩の言葉を遮った。



 ···嫌だ。せめて普通に"前"が良かった。いや全然良くないけど。



 だって、尻って何っ?!私、女だよ??あるんだよ??ちゃんと"前"が。


 それでも尚且"尻"を選ぶって、それなら男の尻でいいじゃん。何でわざわざ女である私の尻なの??



 そんな無駄使い止めて。

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