第67話

「ママ~、ポクの躍りどうだった~?昨日夜ガンパってたくしゃん振付考えたのよ~。」



 全然躍りなんて覚えてないよ。


 それよりも、歌詞の最後の方、なんか凄いこと言ってなかった??!頭の中真っ白なんだけど!!



 先輩は嬉しそうにくるくる回り、止まったタイミングでプリンセスのようなお辞儀をして「お粗末様でした」と呟いた。



 え?····蓮見商事の将来大丈夫なの?!主治医とセカンドオピニオンの必要性を最大限に感じるよ。



「お腹すいたよママ~、ママの手から卵ボーロが食べたいよ~。」



 先輩がスキップで冷蔵庫の上にあった卵ボーロの袋を取ってくると、それを私に差し出した。



「ママの掌にボーロを出して~、ポクがそこから直接お口で食べるからね~。あ、うっかりママのお手てをペロペロしちゃったらごめなしゃい。」



 私はボーロの袋を先輩から取り上げると、容赦なく床にボーロをいくつか落とした。



「食え。」


「わー!!ボーロ、ボーロ、ボーロ拾いだあ!!」



 蓮見先輩が狂った犬のように四つん這いで床を駆け回り、口だけでボーロを拾い食べていく。



「ママ~喉渇いたー!ママのおっぱい飲みターイ!ミルクほちいなあ~♪おっぱいおっぱい。オパーーー!!!!」



 今度は先輩が床でお姉さん座りのような体勢で、チュパチュパと自分の親指を吸い始めた。



 私は先輩の首根っこを掴みキッチンまで引っ張っていき、先輩の口を無理矢理、水道の蛇口まで持っていくと、水道から直接水を飲ませた。



「ごふごヒュゥッッ。豪快だねママ!!」



 この一連の作業だけで、私の労力がどれだけ損なわれるかわかってんのかこいつ。

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