第62話

私をおちょくっていた2人はうどん同好会に所属しているらしい。


 うどん同好会もそば同好会も、セレブ校らしからぬ同好会だ。むしろ合体したらどうだろう。



「朱良····最近ちゃんと食べてるか?ちょっとやつれ気味だぞお前。」


「ははっ···」



 蓮見先輩が「じゃあ俺は急ぐから」と競歩並みの早さで行ってしまった。



「蓮見先輩、カッコいいよなあ~!どんなに忙しくても疲れを一切見せないし、ああいう男が社長に相応しい人間なんだろうな~。」


「こないだのそば同好会とのバトルを収めてくれたのも蓮見先輩の力だしな。俺、蓮見先輩だったら抱かれてもいいかもしんない~」


「マジで?!!じゃあとっとと抱かれといでよ!!」



 私は「いきなり部屋におしかけて全裸でうろつけば、すぐに抱かれるんじゃない?!」と、とりとめのないアドバイスを2人に伝えておいた。


 ただ、蓮見先輩はイケメンだからいいとして、うどん同好会の2人の顔面偏差値がもうちょい高ければ最高なんだけどな。2人とも伸びたうどんのような顔をしているから。


 全裸徘徊を勧めておきながら、今さら2人の顔面が気になり始めた私。


 やっぱりイケメンにはイケメンをあてがっていきたい。




 大学の廊下には人だかり。


 蓮見先輩が同級生の男たちに囲まれている。



「吉光ぅ、先週の政治学のレポート助かったわ!」


「蓮見先輩!また太極拳大会の助っ人頼みたいんです!!」


「蓮見さん!学祭のポスターの下書きこんな感じでいいですか?!」



 誠実で頼りがいのある蓮見先輩は、毎日こんな具合に男たちの中に埋もれている。


 教授の研究論文を手伝ったこともあるんだとか。


 高校時代にやっていた生徒会長の印象が色濃く残っているのだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る