第61話
「なんだよ一門~機嫌悪くない?」
「悪くない。」
「なんか懐かない小動物みたいだなお前。」
2人にバシバシと頭を叩かれ、「ヨーシよしよし」とたけのこの里の箱をガラガラと左右に鳴らされて、餌でおびき寄せる動物園の飼育係のように私をおちょくり始めた。
ムカつく!!"たけのこの里"にも"飼育"にもうんざりだ!
私が2人に殴りかかりそうになったところで、「止めとけ」と振りかぶった右手首を軽く掴まれた。
「···朱良、こんなことで暴力沙汰にするな。」
「は、蓮見先輩。。」
「お前ら2人もあまり朱良をからかうな。ムエタイで半殺しにされるぞ。」
その大きな身体の影に、私はすっぽり包まれてしまったが、すぐに蓮見先輩が私の手首を離した。
「あ、蓮見先輩!うちのうどん同好会の模擬店で、そば屋やろうと思ってるんですけど申請通りますかね?!」
「そば屋はそば同好会が出店する予定だ。うどん同好会はおとなしくうどん屋をやるべきだろう。」
蓮見先輩は、大学祭実行委員会の委員長を務めている。
大学祭は1年に1度、秋にしか開催されないが、実行委員は1年中忙しく動き回らなければならない。
ステージや屋台の修繕、各部、各サークルの予算管理、衛生面の申請、外部への手続き、1年を通したスケジューリング。
高校の生徒会よりもずっと大変な仕事だ。
紅白歌合戦の小林○子並みの忙しさ。
でもこの大学祭実行委員長を務めれば、蓮見先輩の実家が営む蓮見商事の評価が世間的に上がるらしい。セレブってこんなとこまで気を配らなきゃいけないからほんと大変だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます