第56話
世界は広い。
まだ見たことのない景色や生き物が存在し、思いもよらない生活をしている人々が大勢この世界にいる。人生の中で私はどれだけのものと出会うことができるのだろう。
でもそれ以上に人間の可能性は果てしなくでかい。今まで存在し得なかったコロナという感染病まで作り出すくらいなのだから。
私は、"私"という意識を持つ個体は、1人しかいないのだと思っていた。秋人が飼育していたドールは意識がないものだから"私"には含まれない。
でも今絶句しながらVRを体験している私の前には、完全に意識を持つ別の"私"という存在があるのだ。
『いやああぁ琉生お兄ちゃぁんっ!!朱南もうダメぇ、ダメなのぉっ♡』
何言ってんだお前、私のが全然駄目だよ。
自分で自分の腰振ってる姿見て正常でいられる方が難しいってものだ。頭皮から油汗が沸き上がり、こめかみへと流れていくのがわかる。(おっさんか)
何から説明すべきか、まずはこの映像のタイトルがヤバいことからだろうか。
この漫画のタイトルも確かにダサくてやばいが、このVRの映像は、『妹の朱南ちゃんをヤってヤって
全然ポップな色合いのロゴタイトルじゃない。黒いビキビキのひび割れた岩のようなロゴだ。
5人の"朱南"という私にそっくりな妹キャラを選択し、仮想行為に及ぶというシチュエーションAVだ。
しかもそのキャラを選択すると、次にコスチュームをカスタマイズできるという優れもの。
何で私の顔面は固定なのか···。顔面もカスタマイズできるようにしとけよKAIDOエンターテイメント。お客様サービスセンターに連絡してやろうか。
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