第55話

因みに漫画の中のムッツリ属性は秋人だ。普段真面目でお固い彼が裏では大量のエロ本を隠しもち、1日8回はいそしむというめちゃくちゃ性欲の強いキャラとして描かれている。


 しかし普段の繕った自分をなかなか取り外せない秋人は、たまたま心陽とシャワー室で鉢合わせ、思いっきり心陽を襲うのだ。



 なんとそれは5時間にも及ぶ。犬の性行よりも遥かに長い。



 心陽をねちねちと厭らしく責め続ける秋人との性行ページが48ページも消費されていたのを思い出す。


 そんな絶倫の火の粉が自分に降りかかったらと思うと鳥肌が立つ。


 でも死にたがりの人間が絶倫だなんてあり得ない。"生"は"性"に繋がるのだから。(本当か?)



 とはいえ琉生も健全な男なのだからエロ本の1冊や2冊ぐらいは持ってるだろう。そう思って雪崩を下から上に辿っていくと、ふとクローゼットの上の方に目がいった。



あ!!あれってVRじゃない?!



 上の棚には、頭からすっぽりはめる大きなゴーグルの形をしたVRが置かれていた。


 VRとはバーチャルリアリティの略で、仮想現実の世界を映像で体験できるもの。大きなゴーグルのようなものを装着してそのリアルな世界を楽しむというものだ。



 さすがゲーム会社、KAIDOエンターテイメントの息子!!雪崩を掻き分け手に取ってみると、意外と軽く、しかもノーケーブルで超最新型のVRだった。


 せっかくだから死にきれない琉生が戻ってくるまで遊ばせてもらおう。




 黒い大きなゴーグルを頭からすっぽり被ってみる。ゴーグルの横にある電源をONにすると、"KAIDO"のロゴが表れた。


 しばらくすると、オープニングのようなものが流れ始めた。



────『今日も一緒に遊ぼ!お兄ちゃん!』


···········


『お兄たま、あたちのことも構って、お兄たま~。』

『兄者、兄者のこと、お慕い申しております。』

『よっ兄貴!今日も私と楽しもうぜ!』

『もうお兄さまったら。今日は私と遊ぶ約束してましたでしょ?』


『お兄ちゃん!っもう!今日はどの朱南とエッチしたいの?!!』─────



 ふう、


 よし、ちょっと一旦ゴーグル外そう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る