第42話

着ているメイド服は清楚とは言い難く、スカートの丈が短い上に白いニーハイソックスを履いている。


 これは、駄目だ····あかんやつだ。ストーカーだなんていうのは全然可愛い部類なのかもしれない。


 秋人はストーカーじゃない。


 歪な愛?狂気の沙汰??


 いやいや、これはド変態というやつでしょう。


 だって今私の目の前にいる彼女は、私のドッペルゲンガー、私に生き写しの人形──···いやこれは、


ラブドールというやつだ────。



 口はアヒル口のように少し開いていて、もう何をどう処理していいのかワケが分からない。


 震えながらも、その首輪をしたドールの頬に自分の手の甲を並べてみる。


 肌の色がベージュオークル03だのライトベージュ01だのと言っている場合ではない。もうそのまま私の肌の色で、もしファンデーションに名前をつけるなら、朱南ベージュ19(←年齢)となるだろう。


 でも驚くのはそれだけじゃない。


 今度はドールが膝に置く手に自分の手を並べてみる。大きさはもちろん、爪の形、関節の位置まで一緒、掌を見れば、私の生命線がそのまま描かれている。


 ····な、何でこんな細部にまでこだわってんの??


 確かに、高校生の頃はよく、秋人は私の手を触ってきていた。もしあの時からこのドールを作る計画を立てていたなら····


 秋人の実家は自動車メーカーだ。作る技術は充分にある。。


 私はスマホを取り出し、ラブドールをウィキ◯ディアで調べてみた。


 でも調べてすぐにやめる。


 だって、"男性が疑似セックスを楽しむための人形"って、ストレート空振り三振のような気持ち良さを覚える語彙で書いてあるから。

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