第41話

そっとドアの隙間から中を覗いてみる。



「へぁッ····、」



 精一杯の語彙力を振り絞ったのに、言葉にならない。私はそんな乏しい声を出した後、とりあえず一旦ドアを閉めた。


 さらに加速する鼓動が身体中に鳴り響いているようで····


 というか、今私が見たのは何だったのだろう。



 もう一度ドアを少し開き、覗く。


 私は彼の部屋にいるそれを、じーっと数分見つめてみた。でも、ビクともしない。


 というか、そこにいる彼女・・は瞬きすらしない。


 ····何を、どうしたらいいのだろう。



 部屋中には私の写真が貼ってあると思っていたのに······、おこがましくも、秋人はのことを好きだと思っていたのに····。



 私は静かにドアを開くと、部屋の中へと足を踏み入れた。



 パタンと閉まったドアの音を最後に、秋人の部屋には静寂が取り残された。



 ベッドの横で、私の方を向いて微笑む"彼女"。


 彼女の首には、首輪がついていて、その首輪には鎖がついていて·····鎖はしっかりとベッドの柵に取り付けられている。


 彼女という存在がそこにいることさえビックリなのに、え??首輪?!、え?!しかもメイド服?!?ってツッコミがツッコミを上回ることに動揺を隠しきれない。



 間違いない。秋人はこの部屋で、彼女を監禁···いや、彼女を飼っているのだろう。


 彼女はツインテールのように赤いリボンを右と左に、頭に白いヘッドドレスをつけている。

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