第40話
大学の保健室の先生はおばちゃんで、秋人の汗が酷いということで、秋人の部屋から着替えを持って来て欲しいとのことだった。
秋人の鞄を勝手にあさり、勝手に鍵を取り出すおばちゃん保健医。
「···え?···か、勝手に僕が秋人の部屋に入っていいんでしょうか。。」
「何で?あなたたち友達なんでしょ??風邪ひく前に取ってきてあげてよ。」
半ば強引におばちゃんに鍵を渡され、私は仕方無く寮に戻り、秋人の部屋まで取りに行くことにした。
そういえば秋人の部屋に入るのは初めてだ。
実は大学に入ってから、4人のルールが少し緩くなり、彼らの部屋に私が入ってもいいということになった。
ただし私の部屋に入るのは禁止らしい。
心陽君の思惑通り、本当にルールが緩くなってしまったのだ。このままでは体裁が危ういと思っていたが、実は秋人と心陽君の部屋には未だ行ったことがない。
本当に勝手に入っていいのかな?と思いつつも、ちょっと怖いものみたさで見てみたい気持ちもある。
秋人はストーカータイプだと思っているが、実は『狼さんに食べられちゃう♡』の中では、蓮見先輩が心陽のストーカーっぽくなるのだ。
蓮見先輩の部屋には心陽の写真やポスターがそこらじゅうに貼られていて、ひたすら部屋では「心陽、心陽」と名前を呼び続けるのだ。
今の秋人の部屋は、私の写真で埋め尽くされているのかもしれない。
カルガモのように後ろをついてくる秋人だから、きっと私の後ろ姿ばかりが写された写真に違いない。
鍵を差しこむと、私は心臓をバクバクさせながらドアノブを回した。
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