第37話
それから私は適当に、「体調が悪いから今日は休む」と言い残し、電話を切った。
しばらく怖くて部屋から出れなくて、ようやく出る気になったのがお昼過ぎ。
覗き穴を確認して、そっとドアの隙間から覗くと誰もいないことに安心して、思い切りドアを開いた。
するとドアの横に、大量の薬と栄養剤、胃に優しそうなレトルト食品が入った段ボールが置かれていた。
ホラーだ。
何となくそれを食べると秋人に呪われそうな気がして、私は他の友達や知り合いに適当に配った。
─────·······
「高梨先生、身の危険を感じます。助けて下さい。」
私は高梨先生に相談した。
彼は高校の保険医だから、外のカフェで待ち合わせをして、開口一番に助けを求めた。
「神影秋人って高校時代は朱南ちゃんの手ぇ握ったりしとらんかったか?」
「....はい、手とか、あとよく肩を触られたりとか。」
「今はどうなん?今でも身体触られたりするん??」
「.....そういえば、最近はないかも...。何だろう。触られてた頃の方が全然気持ち悪くなかった気がします。」
「朱南ちゃん、"引いてダメなら押してみろ"作戦でいってみ!」
「は??」
「つまり、朱南ちゃんから積極的に触ってみるんや!」
「........」
"押してダメなら引いてみろ"という言葉を裏返しにしたものを、私がストーカーに実行してみろと言ってるのだろうか。
それって、ただの自爆じゃない??
「もし何かされたらいつものムエタイで蹴り飛ばせばええやろ??ま、頑張って。」
一応いとこの癖に、凄い他人事だな。
まあ、そういう私に無関心なところが、相談しやすい理由だったりするんだけど。
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