第31話

いや、うん、大丈夫大丈夫。


 いける気がするよ私。BとCの間だし。筋肉で胸がでかくみえる男とかいるし。



「じゃ、じゃあ僕は先に学校行くねー....」



 心陽君の目から反れるように背中を向け、さっさと倉庫から出て行こうとする私。



「....ああ、何で気付かなかったんだろう僕。」


「.......」


「自分でも何でこんなに一門先輩につっかかりたくなるのか、不思議だったんです。」


「...へ?..」


「先輩.....女の子だったんですね?」



 身体は向けず、顔半分だけで振り返ると、私は白々しく彼に言った。



「え?お、女の子??ち、違うよ。これは、アレだよ、....女性ホルモン剤飲んでるんだよ!!」



 自分でもひくような嘘をついてしまった。


 え?女性ホルモン剤飲んでる男ってことは私、おネエでも目指してるの??いや定評が落ちるとか以前の問題じゃん。


 それでも女ってバレるよりはギリギリマシかもしんない。



 もう何でもいい、さっさと行こう。


 そう思って倉庫から駆け出した時だった。


 心陽君が突然後ろからタックルしてきたと思ったら、私の腰をまさぐり始めたのだ。



「なッッ!!///」



 慌てて振り払うと、倉庫から雨の降る外に尻もちをついてしまい、私は再びずぶ濡れになってしまった。


 でもウィンドブレーカーは心陽君に貸したままだから、白いTシャツが透けてもうそれは裸同然、いや、裸よりも恥ずかしい醜態を晒してしまったのだ。


 もう言い逃れはできない。というか心陽君ならきっと皆に言いふらす。


 なんだか立ち上がる気力もなく、私はそのまま胸を隠すように雨の中で体操座りをした。

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