第20話

「朱南の意見なんだから本気でとるさ。

もしどうしても校内のシャワー室や寮の大浴場に入りたい時は俺に言ってくれ。その時は清掃中の看板でも立て掛けて、俺が見張っててやるから。」


「あ、あはは、だから、冗談ですって...」


「授業中でも俺に連絡してきてくれても構わない。いつでもシャワー室ぐらいお前のために空けておいてやるからな。」


「い、いや、だから、」


「但し、あいつら・・・・には絶対頼るなよ?必ずシャワー室使う際は俺だけに連絡してくれ。」


「.........」



 真面目にとりすぎて、たまに面倒になることもしばしば。



 私と秋人しゅうと琉生るいは2年生で、心陽こはる君が1年生、そして蓮見はすみ先輩は3年生だ。



 蓮見先輩と、心陽との出会いは、心陽がクラス内で生徒会の雑用係を押し付けられるところから始まる。


 生徒会雑用係ってのは、会長や副会長、書記、会計の執行役員とは別に、毎年1年生から2人選出される。


 誰もそんな面倒な係なんてやりたがらないから、クラスでもいじられキャラの心陽が無理矢理推薦され選出されるのだ。



 その頃、私は2年生に上がったばかりで、秋人と風紀委員に選出されていた。そして私は、蓮見先輩と委員会で初めて顔を合わせることとなる。


 

「君が、一門朱良か。不良の生徒を更正させたと話題になっているぞ。」



 委員会が終わり、秋人と寮に帰ろうとしていた時だった。廊下で蓮見先輩に後ろから話し掛けられたのは。



「....あ、ありがとうございます。」


「華奢な身体でも筋肉のつき方がしっかりしているな。大臀筋がほどよく引き締まっている。」


「は、はあ。。」



 筋肉の名前を出されても、どこの筋肉のことだかよく分からなかったけど、隣にいた秋人が蓮見先輩を物凄い目で威嚇していたのを覚えている。


 この頃にはすでに秋人や琉生には女だとバレていたのだ。

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