第10話

ここで本題だが、実は私が女であることは完全にバレていた。秋人だけじゃない。琉生にも蓮見先輩にも心陽君にも。



 本当にありがちで些細な出来事だった。



 体育の時身体が触れ合った瞬間、


 近くのコンビニで生理用品を買っていた瞬間、


 生徒会室に保管されていた私の履歴書、


 雨に濡れて体育館倉庫で着替えていた瞬間。


 私が女だと知った4人は4人共予想通り私を脅迫した。皆に女だと知られれば男たちに襲われるだろうと。


 しかしその脅迫は予想に反し、大変プラトニックなものだった。


 私が女であることを隠す代わりにたまにデートをしてほしいと。


 それはもう"脅迫"ではなくただの"お願い"だ。


 私が女だから遠慮がちになっているのかもしれない。今まで男だらけの空間で生きてきた彼らにとって、女はガラスみたいなものだと思っているらしい。



 秋人が頼んでくれたケーキが運ばれてくるも秋人は私の右手を離してはくれない。


 店員さんに意味深な笑顔を送られ顔を熱くする私に秋人がケーキを食べさせようと口元に持ってこられた。



「朱南、ほらあーん。」


「っ///」


「.....俺に食べさせられるのは嫌ですか?」


「い、嫌じゃないです。。」



 ここのケーキ凄く人気があるのに全然味が分からなかった。

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