1.出会いとばれてる話

第9話

秋人しゅうとと"シェ.ロエベ"のカフェに入ると真っ昼間からカップルシートに案内された。


 隣同士に座りながら窓からは庭園が見られる個室だ。庭園には花々が綺麗に咲き誇り、人気なのも確かに頷ける。



「......ようやく2人の時間が過ごせますね。」


「.....いや、秋人とはよく過ごしてる気がするんだけど。」


「でも2人きりではないでしょう?」


「....今週は家に帰らなくて大丈夫なの?」


「....多分、また週末には呼び出されると思います。」


「そっか....大企業の息子も大変だね。」



 秋人は自動車メーカーの御曹司で度々仕事の関係で父親に呼び出される。


 だから放課後秋人と2人でこうして一緒にいられることは少ない。それもあって私は秋人を優先したのだ。



「大変なのは朱南も同じでしょう。」



 眼鏡を外した秋人の瞳が隣の私を見つめる。距離が近いのもあって少し恥ずかしくなった私は視線を庭園に向けた。



「......朱南....、」


「.....な、なに。。」



 秋人が私の横顔をじっと見つめて、そして秋人が椅子に置かれた私の右手をぎゅっと握る。



 私は毎回こういった瞬間に同じことを思う。


 この漫画って本当にR18なのかと。


 普通2人きりの空間で見つめ合い手を握った時点でBLの世界では確実にいたしている。


 これは2次元における話だけではない。3次元でも80%の高確率だと前世でサーフィンしたネットの世界に書いてあった。


 男は男に遠慮がないのだ。


 それが今この空間には純な淡い少女漫画的な雰囲気が醸し出されている。.....どエロいBLの空気が浄化されている。

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