第3話
トントン
「.....朱良、入るぞ。少しこの試算表を見てもらいたいんだが、良かったら今からテラスにでも行かないか?」
今ノックをして入って来たのはこの学園の生徒会長である
綺麗な焦げ茶の髪に背が高く冷静沈着、いつも無表情ではあるがさすがこの学園の生徒会を担っているだけあり頼もしい存在、のはずだ。
「......何だお前たち、何でこんなとこにいる?」
「俺は風紀委員の一員だが??生徒会長の癖に何しにきたんです?」
「生徒会長に向かって相変わらず偉そうだな神影は。」
「何でもいいからさっさと帰ろうぜ朱良~。」
さて、この物語が始まってからまだ一度も私は言葉を発していない。
3人に色々言われて誰の誘いに乗ればいいのか分からないのだ。
大体私が誘われるなんてシナリオはこの物語にあっただろうか?
.....私はモブの一人に過ぎないのだからこんなメインキャラに話し掛けられることすらないはずだ。
.....いや、そういえば一人だけ"私"に話し掛ける男がいた。
「朱良センパイ!今日も無事生きてます?!」
バンッと豪快にドアを開け入って来た4人目の男、
私とさほど変わらない身長に金色のふわりとした髪、白い肌に中性的な顔立ち、加えこの中で一番年下。
女の私よりもずっと可愛い容姿の持ち主だ。
彼、心陽は純粋で一生懸命、誰にでも人懐っこくまさに物語の主人公のような存在だ。
風紀委員長でありながら物語とは全く無関係の私だが、心陽はそんなモブにも度々挨拶をしている場面があの漫画に描かれていたはず。
「一年が気安くこんなとこ来てんじゃねぇよ。さっさと帰ってあやとりでもしてろ!」
「引きこもりの皆藤先輩に言われたくないですよ!大体今日は僕朱良先輩に勉強教えてもらう約束してんだし!」
そんな約束した覚えはない。
本来、私の知っている漫画の中では主人公である
それが何カップル同士で言い争いしてんだ。
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