第32話
その武勇伝を語られるのを恐れたお姉ちゃんが、その場をそそくさと退散した。
残された私と
「へえ〜ALISSなんて超大手じゃん!よく派遣から社員になれたな?さすがじゃん。」
「旭陽こそ。央海倉庫だなんて業界最大手じゃない?」
「でも俺、物流担当だから現場だしさあ。昼夜逆転なんてしょっちゅうだし、体力勝負の世界だよ。」
その癖、全然疲れた顔なんてみせない旭陽。昔は野球に打ち込んでいたこともあってか、上手に焼けた肌をしている。なにせ艶がいい。ハリもある。
昔もアラサーとなった今でも、旭陽の独特な色気は健在だ。
Tシャツに浮き出る分厚い胸板。鎖骨のミゾのえぐれ具合が好き。えろいな、私の思考。
「そういえば旭陽、なんか丸くなったよね。昔ほど尖ってない気がする。」
「いつの話だよ?挫折した野球少年がグレたのなんて、ほんの一瞬だったし。」
「補習も追試も追追試も、誰のお陰で乗り越えたと思ってるの?」
「へえへえ。秋奈様のお陰ですな。」
白い歯を見せて笑う旭陽。少年の色を残した、いい大人になっている。
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