第31話
「あれ?マジ??秋奈と、菜津美さんじゃない?!」
ふと見れば、そこには幼稚園から幼馴染である
久々に実家の近所に帰ってきたので、彼と会うのはもう何年ぶりだろう。
「旭陽くん?!うそ。ベリーショートが似合いすぎる。」
「菜津美さんも!昔は髪、長かったですよね?!」
「え?!ま、まあねえ。」
スポーツマンだった旭陽。筋肉の引き締まった細身のイメージだったけれど、昔よりもガタイが良くなっている。要約すればかっこいい。
旭陽の、姉を見る目が、昔のそれとは違う。
時間という流れを濃縮すれば、リセットボタンになる。でもそれを水で薄めてしまえば、また元に戻る可能性もあるということを忘れてはいけない。
「……お姉ちゃんね、昔付き合ってた美容師に試し切りされてね。それからずっとショートヘアなの。」
「ちょ、っもう秋奈!その話はいいってば!!」
お姉ちゃんが焦るように、私の話を止めに入る。でもお姉ちゃんの借金は私がカタをつけたのだ。これくらいの昔話は許されるはず。
当時は美容師を目指していた彼氏にハマっていた姉。
専門学校に通っていた彼氏にカットモデルを頼まれたお姉ちゃんは、快く承諾したのだが。個性的なアシンメトリーな髪型にされてしまい、いくら美女でもあれは酷かった。
適当に、頭皮の皮膚病になったと理由をつけ、美容室でショートヘアにしてきたのだ。
それからというもの、ずっとショートにしている。
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