第29話
「秋奈ぁ!あなたは天使?天使なの?!いいえ女神様だわ!女神No.1だわ!」
実家の近くの喫茶店『ロンドン棟』。
昔からあるこの店は、『ロンドン塔』を間違えて、看板屋が『ロンドン棟』にしてしまったことから名付けられた。
その奥の席で、今私は、姉の成世
3丁目の裏通りから、細い路地に入った日の当たらない場所。昔ながらの変な名前の喫茶店。赤い革製カバーの席。腰の曲がった年齢不詳の女性マスター。
いかにも、これから2時間サスペンスのような事件が起こりそうな要素が揃っている。のだが、もうすでに事件後だったりする。
「それよりも、ちゃんとあのバイオリン職人の男とは縁を切ったの?」
「切った切った!切りましたから!」
「軽率に軽い。」
「もう二度と関わらないようにスマホも拒否設定にしたから!」
「もしまたお姉ちゃんが男に騙されたら、私は姉妹の縁を切るからね?」
「その時は裁判起こすもん。姉妹の絆を永遠のものにしてやるんだから!」
私がキャバクラで働いていた理由はここにあった。
ショートヘアが似合う美女、姉は、美女でありながら好きな男に全てを注ぎ込む女なのである。
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