第11話

深夜でもヘーゼルイエローは発色がいいらしい。瞳を細め、私をいぶかしげに睨みつけるキラ君。痴漢が出そうな深夜の公園前。不審がられるのも頷ける。



「なんで?だって自分、No.1キャバ」


「でも。私、オンリーワン処女。」


「…(うるせーわ)ミウさんてさ、何歳なの?」


「黙秘権を行使します」


「…“処女”は言った癖に?」


「……」



私、確かにNo.1の肩書だったけれど。キャバ嬢として合法の仕事しかしていないし。



深夜の風に漆黒の髪を靡かせるキラ君が、自身の口元をなぞりながら息を吐く。



呆れるような、沈黙の間。



急に心臓が痛くなってきた。鉛のような目眩がする。動悸、息切れ、きつけに無敵だと噂のあれが欲しい。治る見込みを統計データで提示してくれたらさらにハッピー。



いつもみたいに、さっさと馬鹿にして罵ってくれればいいのに。 

 


「あのさ、」


「な、なにっ」



食い気味に、声が上ずってしまい。恥ずかしいよりもしんどくなって俯いた。



キラ君が、一歩一歩私の定位置まで近づいてくる。



同じ立ち位置にくれば、一緒にスポットライトを浴びるのだということを理解してほしい。二人してライトに照らされる姿は、シェークスピアの悲劇だか喜劇に匹敵するということも。



キラ君の靴音に同調するかのように、私のハートが粘り気のある前後運動を繰り返す。

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