第10話

「今日の私の売上で、私の処女膜を突き破ってほしいんだけど。」



あら。…なぜかしら。思ってた頼み方と違うものが口から出てきてしまった。勇ましさが凄い。



緊張してるのか。処女膜とか限定的な箇所を上げて、処女発言が流暢に出てしまう誤爆力。保健体育か。



「……なにその、おとこらしい言い草。街灯がスポットライトみたくなってるんだけど。」


「う、……お、漢らしい女じゃ、処女は貰ってもらえない?!」


「まあ、割と?イケメン女史はタイプですけど?」


「漢らしい処女は?」


「う〜ん永遠の難問だな。」



もっと、すごい馬鹿にしてくるものだと思っていたのに。処女のこととか、ライバルの男にそんなこと頼むこととか。    



いや、彼はどうやら絶句しているようだ。



「嘘?嘘だよな??」


「ほ、ほんとだって…!!」


「俺を騙しにきてるよな??」


「試してみれば、分かるさ!」


「試供品か。」



やたらムキになる私。処女であることを証明したいのではなく、処女をとにかく卒業したいのである。



なぜかって?それは昨日の早朝に遡る。スマホに登録していたタスクとラインが全てを物語っている。



2024/04/XX タスク:彼氏誕生日


04:44:付き合ってるかどうか分からないから別れよう。(尚本メールへの返信は不要です)



もはやイベントはTodoリストに入力している状態。昼はOL、夜はキャバ嬢なんだから彼氏との予定がタスク化していた事実は否めない。



なにが言いたいのかといえば、“彼氏”という名ばかりの恋人がいたところで、恋人らしいことは何一つなかったということ。次年度に“処女”を更新しただけである。



早い話が、何一つイベントが発生しなかった彼氏にフラれてヤケクソになっているのだ。

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