第8話
「おっと。今帰り?って、何そのしおれた顔」
「目の下にクマのあるやつに言われたくない」
すっぴんにセットアップ。という至福装備で店を出たところで、ちょうどキラ君に出くわした。
あんまりにもじっと顔を見てくるから、えげつない顔で睨んでおく。
「ねえ、自分でもすっぴんが最悪だってのは理解してるんだけど、気持ち悪いから見ないでくれる?」
「悪い悪い。褒める要素がどっかにないかと探してただけ。」
「女を見たらとりあえず褒めとけってその精神、尊敬するわ。」
「俺?女も、男も犬もアヒルもとりあえず褒めますけど?」
「アヒルにいつ出くわすの?」
「あそこのな、公園の池のほとりにな、」
何気なく、同じ足取りで並んで歩いていく私たち。
キラ君が“あそこの公園”だと長い指で指し示す。ちなみにあそこの公園の池に住み着いているのは、アヒルでなくカモである。
「あーっとそれより、俺今日宣誓通り3ケタいきましたー」
「わあおめでとう100万かな?101万かな??」
「200万代ですけど?」
「……201万?」
「いんや、286万。」
「ちっ」
「え?ミウさんは?ねえ、ミウさんはぁ?」
「305万。」
「……マジ?」
すっぴんで、思いっきりニヤけた顔で鼻を鳴らしてやる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます