第3話

「あのロリータ、ここんとこ毎日同伴で糞だるい。」



店では美麗王子で突き通しているキラ君が、ピンクのキラキラを親指で拭って、それをなぜか一舐めする。



だるい。のに舐める意図は分からず。きもい。から私の顔がゆがんでしまう。



壁にもたれて、ベージュスーツのズボンから電子タバコを取り出し。腕を組み、唇の隙間からありったけの有害物質をまき散らす様は愚の骨頂。



アウトローなNo.1ホストの引き立て役にはちょうど良い。 

 


 

「春は稼ぎ時じゃん。」


「宣誓。本日3ケタいかせていただきやす。」


「その言葉、そっくりそのまま返させていただくわ。」   



高身長なキラ君が、共有のダストボックスまでの道をふさいでいる。邪魔すぎて、“コノ野郎”を張り付けた笑顔で見上げてやった。



美麗王子?私を見下す様は、あっぱれ魔界の帝王。



七対三の黒すぎるゆる髪にヘーゼルイエローの瞳は、恐らくタワーオブテラーの屋上に立ちマントを翻すバーチャルキャラに近しい。



前髪から覗く目元のクマは、世の中を達観視しすぎてノイローゼになったに違いない。

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