第4話

「ミウさん、クソ笑顔なのに今日も目が笑ってねえ。」 

 

「職業病ってやつね。あ、キラ君ついでにうちの可燃ゴミ捨てといて?」


「悪いけど俺No.1だからゴミの捨て方知らねえんだわ。」 


「ゴミ発言も甚だしいなおい。」


「ゴミ担当のキャバ嬢に言われたない。」


「悪いけどゴミ出しに担当も糞もないんですー。捨てれる人が捨てるし、開いたグラスにはすぐ注ぐ!」


「指名されなくても挨拶は行く!ドンピン入ったらシャンパンタワーからのお姫様だっこ!」


「あんたと喋ってる時間は1円にもならない!」


「そのとーり!はい、今日も」


「頑張って馬車馬のごとく稼ぎませう!」



ゴミ出しを終えた手はやたら清々しい。自分の手の平を見つめれば、生命線は本日も無事、程よい長さを保っている。



よし。まだ息はある。まだアフター7の余力はある。気合いを入れるようにポキポキと指を鳴らせば、どこかから聞こえる笑い声よりも明るい夜に響いた。



キラ君に「殺る気満々の殺し屋か。」と怪訝な目つきでツッコまれる。




さあ今日も今日とて、愉しいアフター7が始まる。





「ミウちゃーん!3番テーブル、商社のお得意さんが来てるから張り切っていってみよう!!」




始まる、のだが。



これは、ストーリーの始まりではない。

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