百合Side

第37話

あの男に襲われて以来、朔くんの私に対する過保護は増した。

だけど海琉さんをずっと家にいさせることも出来ないし、かといって新しい人を雇う訳にも行かないと、家には一人でいることに変わりはなかった。

朔くんは、チャイムが鳴っても絶対に出ないこと。鍵を内側からチェーンまでかけること、何かあったらすぐに連絡すること、と念を押してきた。

私は今まで守ってきたつもりだ。

宅配便はもう時間指定をしているからチャイムが鳴ったことはまだない。鍵はかけているし、指定の時間には朔くんに連絡を入れている。

今日もどうせ、誰も来ないんだろうな。

そう思いながら、リビングで映画を見ていると、チャイムが家中に響いた。

久しぶりになったチャイム。どうしても気になった。

出たらダメだと言われているから。出ない。出ないけど、見るだけ。

私は階段をおりてモニターを確認する。驚きで声が出ない。膝から力が抜け崩れ落ちた。


「な、んで、桔梗?」

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