第33話

俺はその日、なるべく百合の傍にいるようにした。

昨日の言葉を、俺のことが好きだと言っているうちに、俺のものにしてしまいたかった。

やっぱり勘違いだったと、言われないように。

少し前に百合が退屈しないようにと借りていた映画をセットして4本ほど連続で見れば、外はすぐに暗くなっていた。

4本目のラストには百合は寝息を立てて俺の肩に頭を預けて眠っていた。

昨日つけられた複数の跡は、まだ百合の首元に残っている。1日そこらで消えるわけが無い。

一際目立って俺が着けた印が見えて、俺は目の前の百合が急に愛おしくなって、静かに、起きないように、角度を変えて抱き締めた。

「朔、ご飯できたよ。」

「ん、少し待って。」

もぞもぞと寝ぼけながらも俺の背中に手を回してくる百合が可愛くて、俺は海琉の食事を冷ましてしまった。

海琉のご飯が大好きな百合は、どうして起こしてくれなかったのと怒った。

お詫びにと近くのケーキ屋でケーキを買ってきて差し出せば、すぐに機嫌を治してくれまた一層百合の虜になっていた。

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