海琉Side

第26話

死体を別の入口から入って地下室に放り投げる。

予測していなかった人殺しだ。今の時間から処理しては、かえって目立つ。

百合が来る前までは朔はあの配達員をよく気に入っていた。

中性的な女の首を絞め、ゆがむ顔を見ながら喰うのが趣味、そう話した彼は実際ここらでも悪さをしているようだった。

ただ朔はそんなことは気にしていないようで、仕事の丁寧さから彼を指名していた。

つい先日まで仲良くしていた人間を、百合を傷つけられただけで、いとも簡単に殺してしまう。


百合が朔に落ちるのも、時間の問題だと思っている。腰に添えられた手を払わないのも、握られた手に違和感を感じないのも彼女は慣れてきている。

返り血のついた人間に抱きしめられ受け入れるなんて、それがおかしな事だということを、百合はちっとも分かっていない。


純粋無垢なかわいい百合。

邪魔だけはしないで。






俺の目的が達成されるまでは

それまで朔には

残酷な殺人鬼でいてもらわないと困るから。

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