朔Side
第24話
適当に人を殺して目的を達成して帰宅している途中だった。
今日の目的地はそこそこに遠い位置で、家に着くまで1時間半もかかるのだ。
殺し終わって海琉が証拠を素早く消し、現場を後にしたのは8時を少し回った時刻だった。
俺は、盛大なミスを犯したことを気づいた。
それも決してしてはいけないミス。
「っ…やば、俺やったかも。海琉、車飛ばして。」
「やったって、どうしたんだよ。」
「今日9時20分に、配達が来る。いつも家に来てくれる、指定してる人なんだよ。でも今家には百合しかいない。分かるだろ、百合が出たらまずい。そいつは」
中性的な顔をした女の首を絞めながら喰うのが趣味なんだよ。
自分で言っておいて鳥肌が立った。
百合に配達が来るから絶対に出るな、と言ってから現場に来なかった自分を恨んだ。
もし、百合が配達員に喰われたら。
もし、百合が俺以外に殺されてしまったら。
俺は震える指で百合に電話をかける。
いつもならワンコールで出てくれるそれすら、返答がなかった。留守番電話に切り替わり、俺は叫んでいた。
「百合!無事なの?頼むから、電話に出て。心配だ、ごめん、百合、ごめ」
「今飛ばしてるから落ち着けよ朔!」
狂ったように留守番電話相手に話す俺に、海琉は声を荒らげた。その声で、ようやく理性
を取り戻して、行き場のない思いから拳をシートにぶつけた。
何度かけても繋がらない電話。無事でいてくれ、と祈る事しかできない自分がもどかしい。
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