第20話

言ってはいけなかったんだと思う。

力強い、朝倉さんの瞳。

真っ直ぐ私を見る綺麗な瞳。

やっぱり吸い込まれそうだったし、この瞳に見られるともう黙ってなんていられなかった。

朝倉さんのせいにしちゃいけないってわかってる。

だけどその瞳のせいで、私は君に伝えてしまった。


「私が、悪魔と人間のハーフだから、だからもう無理なんです。」



驚いた顔。目が見ひらかれたと思ったが、その後、なぜか納得したような表情を見せた。

それから、ふわりと笑って私に言った。


「俺、よく夢を見るんです。その桜庭さんには、黒い大きな羽が生えてる。俺はそのままだけど、避けられた時期に見始めたから何かあるんじゃないかって。だから、言いにくそうな姿を見て余計に、もしかしたらそうなんじゃないかって思ってたんです。だってあの日も、悪魔の本を、」


ふと、お母さんから聞いたお話の一節を思い出した。


強い強い想いは時を越え、

いずれまた出会うことになるでしょう





ねえ、もしかして私たちは


「俺たち、何かの生まれ変わりかもしれませんね。きっと、前世では結ばれなかった。だから今、またこうして出逢えた。そう、思いませんか?」



ああ、もうこんな人を離してはいけない。


「私っ、、賭けてみても、いいかな。」

「賭ける?」

「人間に、人間として生きる道に。」

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