第19話
2人で近くのカフェに入る。
「桜庭さん、何にしますか。」
「じゃあ、ホットチョコレートで。」
「ご飯は、食べないんですか。」
「うん、お腹空いてなくて。」
「少し、痩せました?」
「気のせいじゃないかな。」
どうにか朝倉さんの方から見限ってほしい。
私はもう目を合わせられない。
朝倉さんが今どういう顔で話しているのか、見てしまったらもう好きの気持ちが溢れてしまいそうだから。
だってずっとずっと、会いたかったから。
店員さんを呼び、注文を済ませる。
少しの無言。
私の方から話すことなんて何もなかった。
だって何も伝えられないんだから。
「桜庭さん。」
「なんですか。」
「なんで、返信くれなかったか、聞いてもいいですか。それともやっぱり迷惑ですか。」
違う、迷惑なんかじゃない。
すぐにでも否定したかった。
苦しい、苦しいよ。
もう出会いたくなんてなかった。
なんでまた出会ってしまったの。
私たちが結ばれる確率なんて、ほんの少ししかないのに。
なにも言えない代わりに、涙が溢れてきた。
「桜庭さん、どうしたんですかっ、とりあえず、これ。」
ハンカチを私に渡してくれる。
それを受け取ろうとした瞬間、そのまま私の手を握った。
「なんでなのか、理由を教えてくれますか?」
「朝倉さんっ、とはっ、、、、一緒に、いられないんです。」
「なんでですか。」
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