第17話

カランカラン


「いらっしゃま、あ!桜庭ちゃん!」

「こんにちは、大翔。」

「お、いらっしゃい。」

「瑞希さんもこんにちは!」


大翔に君もさんもいらない!って言われるから、大翔って呼ぶようになった。

瑞希さんは未だによく掴めない人。

でも、とってもとっても優しくて、素敵な人なんだってわかる。

あ、人じゃなくて、悪魔だった。



「桜庭ちゃん何飲む〜?」

「ホットチョコレートで!」

「はーい!好きだね、チョコレート。」

「杜環、ちょっと裏おいで。」

「あ、はい。」



「20歳になってから、もう半年以上経つじゃん?」

「そうですね。」

「そろそろ決めなきゃなんないと思うのよ。」

「そうですよね。」

「お待たせっ、ホットチョコレートだよ。可愛く書けたから見てほしくてこっち持ってきちゃった!」

「ありがと、大翔。」



私は選ばなければならない。



契約して悪魔として生きるべきか

契約せずに、悪魔の部分が消えることを願うか


「すぐに決めるのは難しいってわかってる。でも、悪魔のことも、かなり学んできたでしょ?その上で、杜環がどうなりたいか、ちゃんと考えなきゃいけない。」

「それは、はい。わかってます。」

「まだ時間はあるけど、契約結ぶってなったら人間探し大変だからね。」



今の私は、中途半端な状態にある。

ご飯を食べなくても平気。

でも食べなさすぎると人間として栄養が足りなくなってしまう。

一人前の悪魔には程遠い。

でも、人間としてみんなと同じようには生きられない。

中途半端で居場所がない。



「大丈夫、俺たちがいるから!」

「ん、焦って決めることはない。人間になるにしても、悪魔になるにしても、道はある。どちらにせよ、手助けはする。」

「2人とも、ありがとうございます。」


悪魔がいいか、人間がいいか。

そんなのわからなかった。

でも、悪魔になればお母さんには会えなくなる。朝倉さんにも。

だからと言って人間になることを選んでも、上手く行くかどうかの保証はない。

私は、どうすればいいんだろう。

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