第15話

ふわふわとなんだか夢を見た気がする。

朝倉さんによく似た人と、今とは違う大きな大きな黒い羽を持つ私。

2人はきっと恋に落ちている。そんな表情。

遠くから見つめているしかできなかった。近づくのが怖かった。

ねえ、今の渡しが朝倉さんのこと好きになったら、どうなっちゃうの。

私は、消えてしまうのかな。

それとも夢の2人みたいに幸せになれるのかな。





朝起きると、朝倉さんから一件のLINEが入っていた。

『来週の週末空いていますか?デート、しませんか?』



今日見た夢が脳裏に焼き付いて離れない。

きっと、もうだめなんだ。

私は、朝倉さんを巻き込むなんてできない。

私は未読のまま、連絡先を消した。

会いたかった。

彼と幸せな未来を歩みたかった。

でも、もう私にそんな権利はない。

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