第10話
少し待つと、カップを持った女の人が現れた。
「ホットチョコレート。どうぞ。」
「あっ、ありがとうございます。」
そのまま向かいの席に座る。
さっきの大翔さんよりも、少し無愛想な感じ。
この人が、瑞希さんなのかな?
「私が、瑞希。」
「あっ、私は桜庭杜環です」
「さくらば、とわ、ね。」
そう私の名前を呟いて少し考え込む様子の瑞希さん。
なんか、変なことしたかな、私。
「で?何の用?」
「あっ、実は母に言われて来て。」
「母に?」
「はい、母って言っても、もういないんですけど。」
「さくらばって、さくらばだよな、」
小さな声でそう呟く瑞希さん
「え?」
「よし、裏おいで。」
「えっ、瑞希さん?」
「あんた、背中見せてみな。」
急に言われた言葉に戸惑いを隠せない。
「ほら、背中。」
背中には羽が。どういって断ろうかそう思っていたら
「あるんでしょ?羽。」
あぁ、そういうことか。
瑞希さんは、悪魔なんだ。
20歳になると羽が生えるって、知ってるんだ。
「はい、あります。」
「うん、よくわかった。あんたおっきくなったね。私、ちっちゃいあんたにあったことあるの。覚えてないだろうけど。」
「そうなんですね。」
「うん、おっきくなったよ、よかった。」
「ありがとう、ございます。」
「で?なんか用があってきたんでしょ?」
「昨日、急に悪魔と人間のハーフだって言われて、契約がどうこう言われて、何が何だかわからなくって。どうしたら、いいんですか?」
「悪魔は、20歳になったら契約を結ばなくちゃいけない。それも1年以内に。それは聞いた?」
「はい、聞きました。」
「ん。で、杜環はハーフでしょ?ハーフは羽が生えたかで魔力があるか決まるんだけど。」
「羽は生えたんですけど、」
ぺらりと服を捲って瑞希さんに見せる。
「あぁ、」
「こんなんじゃ、飛べないですよね。」
「飛べないね。」
「ですよね。」
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