第9話

それから数日が経った。

私は羽が生えたから悪魔として、1年以内に契約を結ばなきゃいけないらしい。

契約ってなに。

誰と、何を約束すればいいの?どうやるの?


考えたってわからないことばかり。

お母さんに聞いたってこればっかりは分からないだろう。

だから私は、お母さんの手紙に書いてある人に会いに行くことにした。



地図を頼りにカフェへ向かう。

駅から少し歩いたところにある小さなカフェ。


「こんにちは。」

「いらっしゃいませ〜!空いているお好きなお席へどうぞ!」


元気よく店員さんがでてきた。この人は男の子。

瑞希さんじゃない。

一先ず席につき、聞いてみることにした。


「あのっ、瑞希さんいますか。」

「瑞希?お客さん、瑞希ちゃんに会いにきたの?」

「えっ、と、はい。」

「ふうん。珍しい人もいるもんだ。俺は大翔!呼び捨てで気軽に呼んで?今瑞希ちゃん呼んでくるから!」

「あっ、はい、ありがとうございます。」

「あ!飲み物何がいい?」


きゅるんとした瞳。

人懐っこい笑顔。

白に近い髪色。

お人形さんのような見た目をした男の子。

この人目当てでお店に来る人も少なくないだろう。


「えっと、じゃあ、ほっとチョコレートで。」

「わかった!待ってて!」


楽しそうに厨房へ戻っていった彼。

尻尾でも生えてるんじゃないかってくらいかわいらしい。

瑞希さんは、どんな人なんだろう。

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