第8話

0時を過ぎた頃、お母さんは言った。


羽が生えるなら生まれた時刻ぴったりに始まるはず。何もなければ人間のまま過ごせるはず。


と。

一緒にいようか、とも言われたが断った。

まだ整理できてない私には、1人の時間が必要だった。


私の、生まれた日。

12月24日の午前1時を過ぎた頃だった。

急に背中が熱くなってきた。

そこからは早かった。

一気に背中が燃えるように熱くなった。


「っああああああ!!!」


どれくらい経ったのか。

バサッという音と共に翼が生えるのがわかった。

鏡越しに映る翼。

真っ黒で、小さな翼。

よく見る本の中の絵とは比べ物にならないくらい小さい。

こんなんじゃ、きっと空も飛べないんだろうな。

妙に冷静な自分がいることに少し笑えてきた。


鏡にはひどい顔の自分がいる。



あぁ、私はほんとうに、



悪魔だったんだ。





私はそのまま気を失った。

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