第2話

月日は経って、もう私は高校2年生になった。

アヤさんの何千、何百にもなる年齢は最早数え切れず、見た目も全く変わらない。

アヤさんは死なないのかと一度質問をしてみたことがある。

『妖は自分の主人の人間が死ぬ時に一緒に消えるものだよ。』

『20の歳になるまでに別の契約をすれば、死んでも一緒。でも契約には命が必要だよ。』

ということらしい。

つまりもうひとつの契りを交わしてしまえばあの世へいっても一緒。

あの世へ行くまで何年あるのか分からないけどずっと一緒だ。

私はいつからかアヤさんを好きになっていた。

命を捧げてまで、一緒にいたいと思う程。

妖を好きになるなんて思ってもいなかった。

周りに話したって信じてもらえない相手。

「どうしたらいいんだろう。」

アヤさんは私のことなんて子供のようにしか思っていないだろう。

よくて友達だ。

叶いもしないこの恋に落胆する。

深夜2時半、寝付けなかった私は夜風の通る縁側で独り言を呟いた。


『また悩んでる。』


後ろからひんやりとした空気を感じて振り向けば、着流しに身を包んだアヤさん。

神社以外で会うこともここ最近は増えたから、アヤさんが現れても驚かなくなった。

それにしてもいつも着物に仮面を纏うアヤさんは綺麗だ。

そんな所が好き、だなんて言えたもんじゃない。

顔も見えない人外に恋をした私は一体なんなんだろう。


『何に悩んでるのよ、ご主人様。』

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