第1話

中学校からの帰り道。

みんなは友達と話しながら帰っていたり、部活をしている時。

私は走っていた。

途中にある駄菓子屋さんで昔ながらのお菓子を2つ握りしめて行く先は、ひっそりとしたところに建つ神社。

1つは私の、もう1つはあの人に。



「ねぇ、聞いてよ。」

神社に着いて何もいないところに、お菓子を掲げながらおもむろに話しかける。

『お、ただいま。今日も暑かったね〜。』

この、仮面を被った妖のためのお菓子。いつも通りひょいっと私の後ろに現れ私が持っていたお菓子を取っていく。

お菓子がないと不機嫌になる、妖のくせに。


名前は「妖」から取って「アヤさん」と呼んで欲しいらしい。

なんとも安直な名前、だけど人柄に合ってると今は思う。

まあ直ぐに私の友達を食べようとするし、たまーに私のことも食べようとする。

それでも昔から一緒だから嫌いじゃない。

アヤさんは他の人には見えてないらしい。

らしいっていうのは、アヤさんがそういうから。私がいつの間にか封印を解いてしまったから一生私について回らなきゃいけないとかなんとか。

その印に、俺の手首の内側にはアヤさんと同じ紫色の紋章が入っている。

綺麗な花の紋章。

これがあるから本当なんだと信じることができた。

紋章があるおかげでアヤさんは守護霊のような役割をしてくれている。

事故りそうになってもなんかいい感じにまとまるし、当分死ぬことはなさそう。

アヤさんの本名を私は知らない。いつか教えてくれる日が来るのかな。

暫く話し込んでいると襲ってくる眠気。

いつもそう、アヤさんと30分くらいいると眠くなる。

起きたらもうアヤさんは消えていて、私はまた自分の部屋に戻っているんだろうな、とぼんやり考えながらアヤさんの膝に頭を預けて、私は眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る