第3話

雨宮さんに出会ったのは入社して間もない頃。

私の人生の中であなた以上にかっこいい人にこれから出会うことはないと思いました。


私は雑用ばかり押し付けられて影も薄い存在。

それでも、めげずに笑顔でい続けた私に目をつけてくれて、

次の移動でいきなり社長秘書。


「杉山 あさひ」

という一人の人として初めて認識してもらえたこと

すごくうれしかったんですよ。


毎日失敗を繰り返して、たくさん叱られて、たくさん泣いて。

今までの雑用がどれだけ楽だったか。人と関わり、責任を持つことの大変さを思い知った。

秘書になってからずっと憂鬱で、何度逃げ出したいと思ったことか。


それでも、私を見込んでのこと。私しかできない役割。

そう言い聞かせては、自分にしかできないことを模索しました。

たくさん愛をもらって、たくさん笑って、たくさん喜んで。


“雨宮 辰哉”

その映画の中で、私はどれだけ輝けていますか。

人としての憧れ、上司としての憧れ、尊敬、感謝。

色々な感情があったはずなのに、いつからでしょうか。

自覚していた敬愛とは、まったく別の愛が芽生えていました。

私は雨宮さんの特別になりたかったみたいです。

それは人として、社会人として認められたい、なんてことじゃなくて、

そんな簡単な気持ちじゃなくて、

もっともっと複雑な


“恋”


と呼ばれるものでした。

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