第49話 蠢く陰謀

宇宙の心臓たる生命の原点、生命の樹『ユグドラシル』。

そんな生命の樹が存在する神気に溢れた星『アスガルズ』の中央の東京ドーム5つ分のクソデカ宮殿の一番豪華な寝室の無駄にでかいベットで悪夢に苦しむ片目のサンタクロースのような風貌のジジイが悪夢にうなされていた。


ーーーーーーーーーーーー


[おう、オメーが黒幕だな?歯ぁ食いしばれよ?]


「猿め!世を誰だと心得る!全能神オーディ―――ちょちょちょ待って、話――話を ボヘブァーー!!!」


バッチィィィイイイン!!


ーーーーーーーーーーー


「なぁ!?……はぁはぁ?なんと不吉なモヒカン……」


夢の中で、筋肉隆々マッチョマンの変態モヒカンにガチビンタを喰らって起きるのはココ最近かれこれ3回目である。


「くそっ―――アフロディーテを呼べっ!!」


寝起きに女を侍らせつつ、とびっきりの美女神アフロディーテを呼びつける。


「ディーテ!賢者の石の進捗を聞かせよ!」


「はっ主神様。これで3度目になりますが〈スキルシステム〉、〈地球アスガルズ計画〉ともに順調にございます」


「ふむ、よろしい。下がれ!」


「ハッ(同じ事で何度も呼んでんじゃねーよこの耄碌もうろく爺!!)」


賢者の石の管轄を担当するアフロディーテに変化はない。

しかし、ミーミルの泉で失った左目が疼くのだ(厨二病)。

最高神としての勘が賢者の石周辺が怪しいと言っている。


「へっへっへ、お呼びですか主神様〜」


「おう、ミーミルよ!よく来てくれた!」


ミーミルと呼ばれた胡散臭い老人はオーディンと厚い握手をする。


「早速だが、世の最近の悪夢がな……」


「言わずとも結構、私にお任せあれ」


「おお、流石は全てを見通す神じゃ…」


ミーミルが両手を合わせると次第に両目が青く光りだす。

ギロリとオーディンを見ると不敵に笑い出す。


「見えましたぞ〜〜。悪夢の正体はワキヤック・カマセー。例の賢者の石の実験場にいる凶悪なモヒカンの猿…いやはや魔獣ですな」


「なんだとぉ!?」


すぐさま血相を変えて愚図なアフロディーテのクローンのところに向かうオーディン。



―――アスガルズ・交信の間―――


交信の間は全宇宙を駆ける事のできる虹の橋『ビフレスト』という魔導装置が存在する場所。


「あースキルスキルスキル―――なんで毎度毎度こんなに捌かなきゃいけないのよーーー!!」


残業続きでクマができているパーマディーテのもとに―――


「邪魔するぞ」


「こんな時に誰よもう―――!?主神様!?ははぁ……」


「ふん、貴様がグズのせいで儂が悪夢にうなされているのだ、恥を知れ愚か者」


「は、はぁ…(え、なにそれ!もっと頑張れ悪夢!)」


「ということで儂が直々に介入するぞ―――」


「はぁ……は?ちょっとお待ち下さい!私の管轄で―――」


「うるさーい!儂が絶対なのじゃ!!」





――――――――――――




魔神とモヒカンとの決戦から早3年。

ワキヤックやガンス、ワンパクなどはメキメキと成長し、今は王都の学園に通っているのだが…


「おはようガンスくん、ワンパクくん!今日もいい朝だね☆」


「「うへぇっ!?」」


ここ一ヶ月ずっと180cmのムチムチマッチョのモヒカン野郎があんな爽やかな感じなのだ。


「なっ…あいつどうしたんだよガンス。お前いつも一緒だからわかんないかよ?」


「知らないがんすよ!でもかなり気持ち悪いがんすよねぇ…(悪魔達に調べさせたり【賢者石ダンジョンコア】にリンクしたりしても解んなくてオイラが知りたい限りがんすよ!!)」


教室にて


「きゃーワキヤック様ー」

「ちょっとワキヤック様とは私が先に約束してたのよ」

「あーん♡逞しいカラダ〜」


「ははは、僕を取り合わないでくれよ(キラッ☆)」


「「ゔぉえ゛ッ!!」」


授業にて


「おおお!!流石ワキヤック様じゃーーー!ただの下級火魔法ファイアーボールでこの的だけでなくグラウンドを吹きとがしてしまうとは……このサムディ・ステップ…感動で前が見えませんのじゃ〜」


「「「きゃ〜ワキヤック様ぁ〜」」」


「あれ?俺、なんかやっちゃいました?」


「「オロロロッロ〜」」


という、あれ?こいつ…というような発言を繰り返し、気持ち悪すぎてよくつるんでいたガンスとワンパクは胃液をリバースしてしまうことが増えた。


「あいつ、一体誰なんだよ〜」


「知らないがんすよ!逆に教えてがんすよワンパクくん!」


この不気味な男は本当にワキヤックなのか?

それとも…




―――一方その頃、遠く離れた北の辺境・デブゲッチョ男爵領―――


「ぶえっくし!!」


冴えない、何の変哲のない大人しそうな青年がそぐわない汚いくしゃみをする。


「あーん?風邪?うつさないでよモーヴ」


「うーす、アゲポヨの姉御」


「けっ雑魚の『ポーター』のくせに最近やたらと態度がでけぇんだよ!」


「ちょっとリーダー、モーヴも頑張ってるんだから…ね?」


「けっ、そうやっていつも女に守られてろ優男が」


D級冒険者パーティー『無双の剛剣』。

リーダー兼ガタイのイケイケのいい大剣士 ムノー・ネトリッチ。

斥候でありモーヴと呼ばれた青年の幼馴染のポニーテール美少女 セーソ・マタユル

現代日本の失いつつあるコギャル系魔道士 アゲポヨ・ケバギャル。

そしてひ弱で地味な草食系青年のポーター モーヴ・ビィエスエス。


鎌瀬犬彦が主人公の物語なのに、何故かこの冒険者パーティーに今後スポットが当てられる。   

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